はじめに
あなたが手放した服は、その後どうなっているでしょうか。
使わなくなった服は、捨てる、譲る、売る、古着回収ボックスに入れるなど、さまざまな形で手放されます。
しかし、その後どこへ行き、どのように再利用・再資源化されているのかまで意識されることは多くありません。
世界全体で見ると、衣類を含む繊維廃棄物は年間約9,200万トン発生していると言われ、その多くは焼却や埋立などによって処理されています。
本問題集では、古着を中心に、衣類・ユニフォーム・作業服・繊維製品などを含む繊維廃棄物を対象として、古着リサイクルの現状と課題を整理しながら、次の2点を設問形式で理解していきます。

◎ 第1問
世界で年間に発生する衣類を含む繊維廃棄物の量として最も近いものはどれか。
正解:3
解説
世界では、年間約9,200万トンの繊維廃棄物が発生していると言われています。
これは、人間の平均体重を60kgとすると約15億人分に相当します。
この数字が示しているのは、単なる「古着の量の多さ」ではありません。衣類が大量に生産され、短期間で使用され、その後の行き先が十分に設計されないまま、廃棄物として処理されているということです。
古着を含む繊維廃棄物の問題は、個人が服を手放す行為だけで起きているのではありません。生産・販売・使用・手放された後の行き先までが、一体としてつながっていないことに本質があります。
◎ 第2問
古着を含む繊維廃棄物の問題の本質として、最も適切なのはどれか。
正解:3
解説
古着リサイクルの問題は、個人の意識や回収量だけで説明できるものではありません。
過剰生産、短期使用、再利用先の不足、手放された後の行き先の不明確さが組み合わさることで、繊維廃棄物は増え続けます。
つまり問題は「捨て方」だけではありません。衣類が使用後にどこへ行き、どのように再利用・再資源化されるのかまで、最初から設計されていないことが大きな課題です。
では、この問題はどこで行き詰まっているのでしょうか。

◎ 第3問
世界全体で発生する衣類を含む繊維廃棄物のうち、焼却・埋立などで処理される割合として最も近いものはどれか。
正解:3
解説
ここで重要なのは、母集団です。これは「古着回収に出された服の約70%超が廃棄される」という意味ではありません。対象は、世界全体で発生する衣類を含む繊維廃棄物全体です。
世界全体で見ると、衣類を含む繊維廃棄物の多くは焼却や埋立などによって処理されています。一部はリユースやリサイクルに回りますが、全体として見ると、多くの繊維が循環せずに廃棄へ向かっています。
また、手放された衣類の一部は海外市場へ流通します。しかし、需要や品質条件に合わないものは、最終的に現地で廃棄される場合もあります。
つまり、古着を手放すことは循環の入口になり得ますが、それだけで循環が成立するわけではありません。手放された後の行き先まで設計されているかどうかが重要です。
◎ 第4問
リユースの役割として最も適切なものはどれか。
正解:2
解説
リユースは、中古衣料として再び使うことで、衣類の使用期間を延ばす重要な方法です。まだ着られる衣類をすぐに廃棄しないという意味で、資源循環の中でも大切な役割を持っています。
ただし、リユースは市場の需要に依存します。サイズ、デザイン、品質、衛生状態、流通先の需要などが合わなければ、再利用されにくい衣類もあります。
また、リユースされた衣類も、使用後には再び「その後どうするか」という問題が生じます。したがって、リユースは循環の一部ですが、それだけで循環が完結するわけではありません。
◎ 第5問
リサイクルの実態として最も適切なものはどれか。
正解:3
解説
繊維リサイクルには複数の方法があります。代表的なものには、ウエス(工業用雑巾)、断熱材、緩衝材などへの再利用があります。これらは有効な活用方法であり、廃棄を減らす出口の一つです。
一方で、衣類から衣類へ戻る「繊維 to 繊維」は、全体のごく一部にとどまるとされています。つまり、「リサイクル」という言葉の中には、衣類に戻るものだけでなく、別用途へ転換されるものも多く含まれています。
ここで大切なのは、ウエスや断熱材を否定することではありません。重要なのは、それらが一度使われた後、再び同等以上の用途へ循環する設計になっているかどうかです。
◎ 第6問
繊維リサイクルを困難にしている主な要因はどれか。
正解:2
解説
繊維リサイクルを困難にしている大きな要因の一つが、素材を分ける難しさです。
衣類は単一素材ではありません。綿、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、染料や顔料、プリント、接着芯、コーティング、ボタンやファスナーなどの付属品が組み合わさっています。
これらを素材ごとに分離するには、高いコスト、エネルギー負荷、品質劣化の問題が伴います。さらに、再資源化においては、強度の低下、色のばらつき、異物混入といった品質管理の課題もあります。
つまり、問題は「技術がない」という単純な話ではありません。素材の複雑さ、コスト、品質、処理量の問題が重なっていることにあります。
◎ 第7問
単一素材リサイクルについて正しいものはどれか。
正解:3
解説
コットンからコットン、ポリエステルからポリエステルといった、単一素材を前提としたリサイクル技術は進展しています。
しかし、実際の衣類の多くは混紡素材です。綿とポリエステル、ナイロンとポリウレタンなど、複数の素材が一体化している場合、それぞれを高い純度で分けることは簡単ではありません。
そのため、単一素材リサイクルは重要な選択肢である一方、すべての古着を対象にできるわけではありません。ここに、別の再資源化の出口が必要になる理由があります。
◎ 第8問
繊維として再生しにくい古着に対する有効な考え方はどれか。
正解:3
解説
繊維 to 繊維は重要な選択肢です。しかし、すべての古着を繊維に戻すことは現実的ではありません。
混紡素材、汚れ、劣化、色のばらつき、付属品の混在などにより、衣類として再生しにくいものがあります。こうした繊維をすべて廃棄に回すのではなく、別用途として活用する考え方が必要になります。
ここで重要なのは、「元に戻す」ことだけを正解にしないことです。衣類に戻せない繊維でも、材料として再び社会で使える形にすることで、新たな資源として活用できます。
◎ 第9問
古着を材料として再資源化するメリットとして最も適切なものはどれか。
正解:3
解説
材料として再資源化することで、従来の方法では扱いが難しかった繊維も活用できる可能性が広がります。
ただし、これは「何もしなくても使える」という意味ではありません。実際には、異物除去、用途に応じた選別、前処理、品質管理が重要な工程になります。
重要なのは、単一素材へ完全に分離することだけを前提にしないことです。分けにくい繊維を、材料として使える形に整えることで、従来は廃棄されやすかった繊維にも新しい出口をつくることができます。
◎ 第10問
PANECO®の特徴として最も適切なものはどれか。
正解:3
解説
PANECO®は、繊維を単一素材に完全分離して元の繊維に戻すことを前提とするのではなく、繊維廃棄物を材料として再構成し、再び使える形にするアプローチです。
具体的には、内装材、家具、什器、床材、プロダクトなど、空間や製品の中で使える材料として活用することを目指しています。
PANECO®の価値は、ボードという製品だけにあるのではありません。衣類に戻しにくい繊維に対して、社会の中で再び使える出口をつくることにあります。
◎ 第11問
PANECO®の本質として最も適切なものはどれか。
正解:3
解説
PANECO®は単なるボード製品ではありません。使用後の回収、再資源化、再利用、再回収までを一体として考える資源循環の仕組みです。
もちろん、実際の運用では回収率、品質管理、利用先、再資源化条件などの課題があります。しかし、重要なのは、使用後の行き先まで含めて設計するという考え方です。
古着を含む繊維廃棄物を、廃棄物として終わらせるのではなく、再び社会で使える資源として位置づける。そのための設計と実装がPANECO®の本質です。
◎ 第12問
PANECO®の循環モデルの特徴はどれか。
正解:3
解説
PANECO®では、製品として使用した後の回収と再資源化を前提に、再び材料として活用する循環モデルを目指しています。
これは、一度だけ別用途に使って終わるリサイクルとは異なります。使用後の行き先まで考えることで、繊維廃棄物を継続的に活用できる資源として扱うことが可能になります。
実運用においては条件がありますが、回収から再資源化、再利用、再回収までを一体として設計することで、廃棄物の発生を最小化する循環構造に近づくことができます。
◎ 第13問
古着問題に取り組むうえで特に重要な視点はどれか。
正解:3
解説
回収量を増やすことも、技術を進歩させることも重要です。しかし、それだけでは古着を含む繊維廃棄物の問題は解決しません。
本当に重要なのは、手放された後の行き先まで設計することです。リユースできるものはリユースへ、繊維に戻せるものは繊維 to 繊維へ、それでも難しいものは材料化へ。状態に応じた複数の出口を用意することが必要です。
古着リサイクルには、一つの正解だけがあるわけではありません。必要なのは、手放された衣類をできる限り廃棄で終わらせないための、複数の再利用・再資源化の仕組みです。
Q. 古着を手放せば、すべて再利用されますか?
A. いいえ。まだ着られるものはリユースされる場合がありますが、状態や需要、素材構成によっては再利用・再資源化が難しいものもあります。
Q. 古着を寄付することは環境に良い行動ですか?
A. 有効な手段の一つです。ただし、寄付された衣類がすべて再利用されるわけではありません。需要や品質条件に合わないものは、最終的に廃棄される場合もあります。
Q. 繊維 to 繊維が進めば、古着問題は解決しますか?
A. 繊維 to 繊維は重要な選択肢ですが、すべての古着に適用できるわけではありません。混紡素材、劣化、汚れ、付属品の混在などにより、別の出口が必要な衣類もあります。
Q. PANECO®は古着リサイクルの唯一の解決策ですか?
A. いいえ。古着リサイクルには、リユース、繊維 to 繊維、ウエス、断熱材、材料化など複数の出口が必要です。PANECO®は、その中でも繊維に戻しにくいものを材料として再び社会で活用するための選択肢の一つです。
まずは、自分や自分が関わる組織の衣類や繊維製品が、使用後にどこへ向かうのかを確認することから始めてみてください。
古着は、廃棄物で終わる必要はありません。使い道を設計することで、再び社会で活用できる資源になり得ます。
循環は、意識だけでは実現しません。手放された後の行き先まで設計することで、初めて資源循環に近づきます。
※参考情報
・UNEP “Unsustainable fashion and textiles in focus for International Day of Zero Waste”(2025年)
・Ellen MacArthur Foundation “A New Textiles Economy: Redesigning fashion’s future”(2017年)
※本文中の割合や数値は、世界全体の繊維廃棄物に関する代表的な統計をもとにした概数です。地域、調査対象、統計手法により異なる場合があります。
古着の再資源化(リサイクル・アップサイクル)・資源循環・サーキュラーエコノミー
https://www.uniform-recycling-project.com/used-clothing-recycling/
繊維の再資源化(リサイクル・アップサイクル)・資源循環・サーキュラーエコノミー
